正圧は、建物の換気計画の際に登場する用語のひとつです。空気に2つの圧力差がある場合において、圧力が高い空気の状態を正圧といいます。たとえば、東京ドームは中を正圧状態にして天井を膨らませています。膨らませ続けるには、室内側にどんどん外の空気を送り込まなければいけません。空気を送り続けることにより、室内側は空気の逃げ場を失って、室外側へ押し出すような力が働き、正圧状態となります。

また、空気は同じ気圧になろうとする原則を持っており、気圧の高いところから低いところへ流れていきます。そのため、正圧状態の部屋からは空気が出ていこうとするため、すきま風などは入りません。たとえば、清潔な空気でなければいけない手術室や工場のクリーンルームなどは室内を正圧状態にします。結果、汚染された空気が室内へ流入するのを防ぐことが可能です。

その他、反対の意味を持つ用語に「負圧」があります。建物の屋内と屋外の気圧を比較したときに、内部の気圧が低くなっている状態のことです。負圧の状態でも空気の流れが生じますが、負圧になると空気が入ってくるためすきま風を引き起こします。たとえば、トイレは負圧状態にすることが一般的です。扉が急に閉まったりすることはありますが、すきま風が入ってくることで臭いが廊下などに出ていきません。