塑性(そせい)とは、物体に力を加えたときに変形した後に、元に戻らない状態のことです。一方、変形後に元に戻ることを弾性(だんせい)と言います。一般的に建物で用いる材料は力を加えた初期段階は弾性で、降伏点(こうふくてん)を過ぎると塑性になり、弾性と塑性を合わせ持った性質をしています。

これを弾塑性(だんそせい)と言います。コンクリートは鉄骨よりも強度は高いが、弾性は低く塑性し易いと言われています。鉄筋コンクリート造の建物は小さな地震の場合、揺れは小さく抑えられますが、弾性域を超えた力を受けた場合、塑性域に入り変形したままになります。ただし、コンクリート内部に配置された鉄筋によりある程度の弾性を高め、塑性時にも建物が崩壊しないようにして、人命や財産の保護をしています。

また、外装の継ぎ目やサッシュ周りに用いるシール材は当初は建物の変形に応じた柔らかい弾性性能を持っていますが、日射や雨風に曝されることでその性能が劣化し、固く塑性状態となります。塑性状態となると、目地部分に亀裂が生じて雨漏れの原因となり、また、地震時の損傷、落下にもつながることから、定期的な点検、補修、シール材の打ち換えが必要となります。