供回りは、ボルトの回転といっしょにナットも回転して締まらなくなる現象です。たとえば、ラチェットレンチで高力ボルトを締めるときに発生します。「共回り」や「供廻り」と表記する場合もあります。供回りが起きると、ボルトの軸力が十分ではなくなるため、必要な張力が導入されません。結果、不完全な接合になってしまいます。ナット回転法での締付けは、ボルトに所定のナット回転角が与えられていません。そのため、ボルトの軸力がばらつき、安定さを欠きます。
また、供回りが起きてしまった高力ボルトはもう1度利用はできません。したがって、セットを丸々取り替える必要があります。高力ボルトとは、鉄骨造の接合部が溶接以外だった場合のほとんどすべてで利用されるボルトのことです。JIS製品に認定されており、規格や特徴が決まっています。一般的に、ナットのみ潤滑処理がなされているのが特徴です。
その他、ナットと座金面の摩擦力が大きいのが供回りが起きる原因です。ボルト軸のネジの部分とナットが噛み合ってしまい、ナットが締まらないことも原因のひとつです。高所作業といったナットを手で押さえられない作業向けに、「共廻り防止ナット」も販売されています。