トラバーチンとは大理石の一種である。具体的には、天然で採掘される石灰質の化学沈殿岩を指す。
トラバーチンの語源は、産地であるイタリアの都市・チボリから採れる石という意味の「トラバンチーノ」から。それが英語風に読み替えられ、「トラバーチン」となった。

トラバーチン最大の特徴は、表面に無数の小さい穴が縞状に空いていること。長い年月をかけて蓄積した跡が模様となる。
古代ローマでは、トラバーチンが建材としてよく用いられていた。代表的な建築物にコロッセオがある。
現代でも、ビルの内装や外観の装飾用などとしてトラバーチンが使用される。加工がしやすく、独特の模様が好む建築家が多い。

ただし、トラバーチンは他の石材と比較すると強度が低いので、主に内装材として使用することになる。酸に対しての耐久性が低く、雨にさらされて劣化してしまうおそれがあるため、屋外での使用には向かない。床材としても、表面を削って磨いた場合に小さな穴が新たに見えるようになることもあるため、メンテナンスが難しい。
トラバーチンの産地は、かつてはイタリアがほとんどを占めていた。現在は、トルコや中東・中南米などでも産出されている。日本でも、琉球トラバーチンなどの名前がある沖縄産が有名。