強化ガラスとは、一般的なガラスに比べて3~5倍ほどの強度を持つガラスのことです。JISに規定される工業製品でもあります。重さや風圧への耐性、割れにくさ、そして破損時には全体が細かな粒状になるという最大の特徴があります。これによりガラス片による損傷の軽減、安全性への配慮を可能にしました。
強化ガラスは、通常のガラスとほぼ変わらない見た目であり、人間の目で識別することは困難です。そのため車の窓や、建物の出入口に使用するガラスドア、店舗用ディスプレイなど幅広く用いられます。

強化ガラスは一般に使用されるガラス(フロート板ガラス)にガラスが軟らかくなり始める温度である650~700℃の熱を加え、その直後、ガラス両面に空気を吹き付け急冷することで作られます。このときガラスの表面には圧縮応力層と呼ばれる圧縮に抵抗する力を持った層ができあがります。それに対しガラスの内部は、表面が先に固まってしまうので、収縮が抑えられた状態のままで硬化します。これにより、ガラス内部には引張応力(ひっぱりおうりょく)層という引っ張る力に対抗する力を持った層が形成されます。

本来、ガラスは圧縮に強く、また引っ張る力には弱いという性質を持っています。しかし、強化ガラスは両面に圧縮応力層をつくることで、割れにくいという性質を実現しました。