吊り子(つりこ)とは、金属板を横ぶきで屋根を作る際に、平板を野地板(のじいた)と呼ばれる下地に固定に使用する短冊形の薄い金物や、平板の折り返し部分の一端を巻き込み、他端を下地にくぎなどで固定する部分のことを言います。屋根の金属板は基本的に水下から水上の方向にふいて行きます。金属板の水上部分に吊り子で固定をし、更に水上の金属板の水下部分を引っかけて順次固定をしてゆきます。

吊り子は主に板金加工によって帯状の金属板を曲げて製作されます。多くの横ぶき屋根の建物で採用されています。金属板を直接、釘やネジで止めて行く工法もありますが、吊り子を用いることで、屋根材の強度を増し、補修を容易にしますします。金属板の縦ぶきの屋根で、立はぜぶきや瓦棒ぶきには通り吊り子をもちいます。立はぜの場合、縦ぶきの金属板の継ぎ目部分にL字型の通し吊り子を設け金属板を折り曲げてはぜを作ります。

東京都体育館でもこの工法の屋根で出来ています。瓦棒ぶきで接合部分に心木の代わりに通り吊り子を用いる工法があります。縦ぶきの金属板の繋ぎ目部分に、通り吊り子をネジで固定し、キャップと呼ばれる縦の金属板と一緒に折り曲げてカバーを取り付けます。東京カテドラル聖マリア大聖堂もこの工法の屋根で出来ています。