ステンレス鋼とは、普通の鋼に比べてクロムの量を増やして耐食性を高めた鋼である。「ステン」が「サビ」、「レス」が「〜ない」という意味。

国際規格では、炭素が1.2%以下でクロムが10.5%以上の合金鋼と定義されている。金属組織の違いにより、マルテンサイト系・フェライト系・オーステナイト系などに分類。鉄にクロムを加えることで表面が薄い酸化被膜で覆われ、耐食性が強くなる。
材料記号では「SUS」と表記。「サス」と呼ばれることもある。2000年に建築基準法が改正され、ステンレス鋼も建築構造材としての使用が可能となった。

ステンレスには錆びにくいという特性の他、耐火性・耐低温性などにも優れる。溶接しやすく、高力ボルトでの摩擦接合にも適している。
ただし、熱膨張係数が大きく、焼き付きが起こることもある。よって、部材の位置決めやステンレス用の工具を使用するなど対策が必要。
また、スプリングバックが大きく、溶接ひずみも生じやすい。あらかじめひずみの大きさを見込んで加工するのが望ましい。
ステンレス鋼はリサイクル率が良く、スクラップ後は建築資材などとして再利用されることが多い。よって、資源保護の観点から、環境にやさしい材料として各分野から注目されている。

【参考動画】

こちらの動画ではステンレス鋼について解説されています。