矢板とは、基礎工事などの際、周囲に打ち込む板状の杭のことで、土砂の崩壊や水の浸入を防げます。土圧への抵抗力が強いので、港湾工事や河川工事、都市土木工事、橋梁工事など、幅広く利用されているのが特徴です。シートパイルと呼ばれることもあります。

使用されている素材は大きく3つに分類されます。
はじめに、針葉樹や紅葉樹などさまざまな木で作られている「木製の矢板」です。価格が安いというメリットがある一方、長さがそろいにくいというデメリットが存在します。さらに、木材の向きの違いにより横矢板と縦矢板に分類されます。
次に、「鋼矢板」です。山留工事の際に仮設工事用として利用されるほか、永久構造物としても使われます。また、鋼矢板は形状や用途により4つに分類されます。矢板の形状がハットの形であるハット形、断面の形が左右対称であり取り扱いが容易なU形、円弧状に組み立てて利用される直線形、矢板複数枚を組みわせた組合せ鋼矢板があります。
最後は、基準強度の高いコンクリートを使ったプレキャストコンクリート製品である「鉄筋コンクリート製矢板」です。美観が良いというメリットがあるほか、河川の護岸では流木などの衝突に対する抵抗性も兼ね備えています。