杭基礎とは、地表からの浅い部分の基礎で構造物を支えることができない軟弱な地盤において、地中深部にある支持層にまで杭を到達させて荷重を支える支持杭、および地中に設ける杭の側面と地盤との周面摩擦力によって荷重を支える摩擦杭によって施す基礎を指します。

現在の杭基礎に用いられる杭の主流は、コンクリート杭、鋼管杭、H形鋼杭ですが、歴史的には松の木を利用した木杭が多用され、地下水面下で常時湿潤状態を維持できれば木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)の繁殖を阻止し、耐久性を発揮するという特性が利用されて現役の基礎も存在しています。

杭基礎の工法は、既製杭と現場打ち杭に分かれ、既製杭には、既製杭を打撃によって所定の深さまで貫入させる「打ち込み杭工法」、杭の中空部を通じてスパイラルオーガで地盤を掘削し、掘削土を地上へ排出しながら杭を圧入する「中堀り杭工法」があります。また、場所打ち杭には、ケーシングチューブを揺動、圧入して掘削、排土した後に鉄筋を建込み、ケーシングを引き抜きながらコンクリート打設を行う「オールケーシング工法」、建込んだスタンドパイプの坑内に水を満たし、静水圧によって孔壁の崩落を防ぎ、ドリルパイプによって土砂と水を排出の後に鉄筋を建込みコンクリートを打設する「リバース工法」、ドリリングバケットを回転させて掘削、排土した後に鉄筋を建込みコンクリートを打設する「アースドリル工法」があります。

基礎の設計計画、さらには適切な施工を行うためには、各種の調査と最適な工法を選定するための検討が必要です。

調査は多岐に渡り、地表地質調査、ボーリング、サウンディング(標準貫入試験、静的貫入試験)、室内土質試験(物理試験、力学試験、圧密試験、動的試験)、載荷試験(坑内水平載荷試験)、地下水調査(水位測定、現場透水試験、間隙水圧測定)、物理探査(PS検層)、有毒ガス、酸欠ガス調査を行い、設計面では、支持層の決定、先端支持力、周面摩擦力、負の周面摩擦力、水平抵抗、砂の液状化、圧密沈下、側方移動、土圧について検討を行い、施工面では、これらを受けて施工法の決定、施工機械の選定、仮設計画の立案を行います。