方杖とは、建築物で斜めに取り付ける部材のことである。
橋梁などにおいては、水平材と垂直材で作られる隅の部分を固定させる斜材として、方杖を部材の中間部分と中間部分とを結んで取り付ける。住宅においては、柱と梁の取り合い部分に方杖を斜めにして取り付ける。
なお、「方杖」は振り仮名として「ほうづえ」と表記するのが相応しいが、「ほおづえ」となっている場合も見られる。原因として考えられるのは、頬や顎に手を当てる仕草である「頬杖」が、「方杖」の語源とされていることがある。「頬杖」には「ほおづえ」という振り仮名を当てるため、「方杖」にもそのまま「ほおづえ」を当てていると考えられる。
方杖と同じく、斜めに入れる部材なのがブレース(筋交い)である。方杖は水平材と垂直材の間に入れるが、ブレースや筋交いは四角形に組んだ部材の対角線に入れる。また、方杖は縦からの外力に対する補強なのに対して、ブレースや筋交いは横からの外力への補強として用いる。
方杖は水平材と垂直材と同じ面に入れることもあれば、水平材と垂直材の両側から挟むような形で取り付ける場合もある。また、方杖は構造材として用いられるだけでなく、化粧材としても使われることもある。そのような方杖は化粧方杖と呼ばれている。