ラスボードとは、和室の塗り壁下地として用いられる石膏ボードです。ボード全面に規則的な「くぼみ」が施されており、塗り壁材料の付着性を高めます。壁をクロスや塗装で仕上げる場合には平らな石膏ボードを使用しますが、和室の塗り壁仕上げ(京壁、砂壁、繊維壁など)にはラスボードを使用します。ラスボードの厚みは7mmのため、ラスボード専用の下塗り剤(石膏プラスター)を8mm塗ることで不燃材として認定されます。
塗り壁にはさまざまな種類があります。最近は和室だけでなく洋室も、漆喰や珪藻土といった塗り壁が人気です。それらの下地には、ラスボードではなく通常の壁下地である12.5mm石膏ボードを使うことが増えています。ラスボードは前述のとおり下塗り剤を厚く塗る手間がかかるのが一因です。漆喰や珪藻土は便利な下塗り材が普及しているため、ラスボードではなく普通の石膏ボードに塗るのが一般的です。
ラスボードが登場する以前の昭和30年代頃まで、和室塗り壁の下地は、巾の細い板を目透かしで水平に打ち付けた木摺(きずり)下地や、細かく割った竹を格子状に組んだ小舞竹(こまいたけ)下地でした。ラスボードが広く浸透してからはこれらの下地は急速に減少し、都市部の住宅では現在はほとんどみられません。