ブレース(brace)とは、四角に組まれた軸組に対角線状に配置する補強材、筋違(すじかい)のことを言います。地震や風力などの水平力に対して作用し、平行四辺形に変形することを防ぎます。木造の場合、太筋違、細筋違、丸鋼筋違などがあります。

鉄骨造の場合、形鋼、丸棒等を用いて、斜め引張力に対抗します。ブレースの入れ方によって、X形、V形、K形、右下がり形、右上がり形があります。ブレース付きの壁部分には窓や扉の開口を設けることが難しくなります。その為に、補剛材取り付け筋違を曲げてのブレースの配置をマンサード形と言います。柱・梁に囲まれた垂直面以外に、梁で囲まれた水平面に配置することもあります。

仮設の工事事務所で斜めに配置された丸鋼を見ることがありますが、これも構造用のブレースとなります。東京タワーの鉄骨で斜めに配置したものもブレースと言います。ブレースを外観デザインに取り込んだ建物としては、香港にある香港上海銀行・本社ビル(HSBC Main Building、滙豐總行大廈)が有名です。イギリスの建築家、ノーマンフォスター(Sir Norman Foster)が設計し、1985年に完成した超高層ビルです。柱・梁の端部のブレースを方杖(ほうずえ)、梁・梁の端部のブレースを火打(ひうち)と言います。