火頭窓は「かとうまど」と読む。「火灯窓」「架灯窓」「花頭窓」「華頭窓」はすべて「かとうまど」と読み、意味はほぼ同じ。石山寺の「源氏の間」で見られることから、「源氏窓」とも呼ばれる。

もともとは中国から伝来した様式の窓で、日本では禅宗建築の窓として使われていた。安土桃山時代以降は、神社や天守閣、書院造や数寄屋造の建物などにも取り入れられるようになった。現在でも、金閣寺や銀閣寺、姫路城・犬山城・松本城など、多様な歴史的建築物で火頭窓が見られる。
火頭窓の大きな特徴は、窓の上部が火灯曲線と呼ばれる尖頭アーチ状になっていること。形が炎に例えられるため「火頭窓」と言い表すが、「花頭窓」などの表記は尖頭アーチを花びらの形に例える場合である。上部が琴柱の形をしたものや、頂部が円弧のものなども作られている。

火頭窓の窓枠は黒漆塗にすることが多い。建具には、細間の柳障子など、窓枠の外側に引き違い戸または引き分け戸が2枚ないし4枚入る。
ただし、火頭窓は雨仕舞いが良いとはいえない。機能的であるとはいえず、装飾としての役割が強い。
近年では、耐火性に優れるアルミサッシの火頭窓も製造されている。寺の改修で木製の窓をアルミ製の火頭窓に交換する事例がある。