「火打梁」とは、床組や小屋組の変形を防ぐために用いる部材である。「ひうちはり」または「ひうちばり」と読む。
「火打ち」とは、自然災害などによる建築物における水平方向の変形を防ぐことをいう。火打ちを目的として設置する梁が「火打梁」である。なお、同じく変形を防ぐ「筋交い」(すじかい)もあるが、筋交いは鉛直方向の変形を防ぐことが目的となる。

火打梁は角材や火打金物などを使い、直角三角形になるように組む。木材を使用する場合は、90mm角以上のサイズにする。火打梁周辺で梁材の継手を設置するのは、強度が確保されないため控えるべき。

火打梁で囲まれた面積は、16平方メートル以下になることが望ましいとされる。また、剛床工法などを採用した場合には、火打梁を使用しなくても良い。
火打梁は三角形に組むためトラス構造となり、変形を小さくできる。地震の多い日本では特に有効。また、古民家の内装をリノベーションする時のデザインとして、木材の火打梁を採用することもある。
ただし、火打梁を採用すると建築部材を増やすことになるため、費用や工期のコストが増加する。部材が増えるため、シンプルな内装にはなりにくい。さらに、火打梁を使用すると床面が高くなることが多いため、バリアフリー対策が難しくなる。