照査とは、比較・照合しながら確認することをいいます。判断の基準になるものと照らし合わせながら詳しく確認し、ミスを防ぐことが目的です。「調査」「審査」「精査」といった言葉よりも厳重なチェックを意味しており、主に建築設計や土木設計の公共事業において使われます。橋や道路、ダム、トンネルといった社会資本を整備していく上で、設計ミスを未然に防ぎ、品質を向上することが目的です。

設計者による二重三重のチェックが必須であることは明らかですが、担当者ではない第三者が別の視点から照査することも、品質を確保する上で重要です。国土交通省は、公共事業の受注者側に対して「赤黄チェック」という方法で設計図書(図面、仕様書、構造計算書など)を照査するよう義務付けています。受注者は、設計担当の管理技術者のほかに「照査技術者」を置き、赤黄チェックを実施。正しいと確認できた部分には黄色のペンでチェックを入れ、修正は赤いペンで行います。

照査済み設計図書の提出は義務ではありませんが、どこを修正したかを「見える化」することに意味があります。受注者は発注者に対し、照査計画書や照査報告書を提出します。
国土交通省は、受注者が照査を効率的に行えるよう「詳細設計照査要項」を監修。照査の目的や対象となる工種、全国共通の照査項目一覧表を提供しています。また、各地方整備局や都道府県は、この要綱に地域の実情に沿った項目を加えた独自の運用版を作成しています。