転がし配線(ころがしはいせん)とは、配管を用いずに、天井裏などにそのまま配線を敷設する方式のことです。電気設備の基準を示す内線規程(JEAC 8001-2016)の中に「ケーブルは、隠ぺい配線の場合において、ケーブルに張力が加わらないように施設する場合に限り、ころがしとするこができる。」と記載があります。天井裏やフリーアクセスフロア内で点検口等により保守、点検、更新が可能な場合や、住宅等の天井裏で内装の更新時以外にケーブルの更新が見込めない場合に用います。

ただし、ケーブルを束ねたまま配線をすると、放熱性能が低下し、許容電力の低下を引き起こすことがあるので、敷設状況の管理は必要となります。電線は一般的に、内部の導体が絶縁体若しくは保護被覆で覆われていますが、ケーブルはその電線の上に、更に保護外被覆(シース)を施したものを言います。よって、基本的に電線管などの保護を要せず施工できる電線となります。

電線管やケーブルラック、ケーブルダクトなどの管路は、ケーブル自体の保護と将来、敷設されている内装や躯体を解体することなく、ケーブルの更新ができるようにするために設置します。電線管には樹脂製の合成樹脂可とう管、硬質ビニル電線管、鋼管製でねじなし電線管、薄鋼電線管、厚鋼電線管、等があり、その用途、目的に合わせて選定を行います。

「転がし配線」の「転がし」とは、「固定しない」という意味。同様な例として、配管を固定せずにコンクリート床に直接置いて配管することを「転がし配管」という。根太を直接床に設置したものを「転ばし根太」と呼ぶが、この「転ばし」も「転がし配線」の「転がし」と同じ意味である。

通常の配線は、ステップルやタッカーで配線を固定する。またはCD管やPF管などに配線を通す。
しかし、建物の二重天井や二重床では転がし配線にする場合がある。配線が床材や天井材に覆われているため、配線を保護する必要がない。それでも単に配線を転がしておくわけではなく、支持材を利用して配線を支えておく。

屋外の配線は転がし配線とするわけにはいかない。たとえ仮設の配線であっても同じ。地面に埋設するか架空線とする。
天井や床に転がし配線をする場合、天井材や床材に荷重を過度に掛けないようにする配慮が必要。天井材や床材でケーブルを損傷しないようにするためにも、ケーブルを整然と配線しなければならない。ケーブルラックなどを利用して、ケーブルをまとめておく。
また、弱電流電線やガス管、ダクトなどと接触しないように配線しなければならない。接触のおそれがある時は、保護テープなどで離しておく。