労務単価は、公共事業における建設労働者の賃金単価のことを意味しています。公共事業に従事する建設労働者だけに用いられる用語です。したがって、労務費とは異なります。労務費は、製品の生産に関連する賃金のことです。主に、公共工事の工事費の積算に用いられます。公共工事の設計労務単価は、農林水産省と国土交通省による「公共事業労務費調査」に基づいて決められます。具体的には、年に1回、調査月に対象となる公共工事に従事した建設労働者の賃金を調査します。

次に、一定金額以上の工事を無作為に抽出します。そして、それぞれの工事で支払われた賃金を都道府県別および職種別に集計するのです。ただ、公共工事の設計労務単価には、現場管理費や一般管理費などの諸経費が含まれないので気をつける必要があります。また、一般的に、設計労務単価は法定労働時間である8時間あたりの労務費として計算される傾向があります。この場合、設計労務単価は「(調査結果の労務単価÷所定労働時間)×8時間」という計算式を用いて算出できます。

所定労働時間が変わると、値が大きく変わってしまうので注意が必要です。その他、設計労務単価は、社会情勢や政策により変わります。例えば、建設投資の減少にあわせて引き下げたり、社会保険の加入を徹底させるために法定福利費相当額を上乗せしたりします。