トレンチ(trench)の元の意味は「堀」や「溝」、「塹壕」などを指す。建築の世界でも、堀や溝などの意味でトレンチという言葉が使われる。
特に設備配管のために床下や土の中に設けた溝をトレンチと呼ぶ。排水管を通せば排水トレンチ、ケーブルを通せばケーブルトレンチ(またはケーブルピット)という。

排水トレンチは、砂利や砕石などを敷き、雨水や排水を濾過浸透させる仕組みとなっている。土壌浄化法などで使われることが多い。そのような仕組みから、浸透トレンチとも呼ばれる。

浸透トレンチには、透水シートやフィルターなども使用される。地下に埋設するため、浸透トレンチの上部を道路や緑地などにも利用できる。ただし、浸透トレンチに土砂などが流入すると清掃や復旧などが困難となるため、前後に浸透桝を設置することが必要。
その他にも、小規模の掘削工事に使用する矢板をトレンチシートと呼ぶが、単にトレンチと呼ぶこともある。アルミや特殊鋼など、軽量かつ薄く作られることが多い。運搬や施工・撤去が容易に行えるメリットがあるが、止水性にやや劣るデメリットも存在。
トレンチカット工法では、先に掘削予定地の外周にトレンチを掘る。トレンチに土止めを設けてから、内部を掘削していく。