太鼓張り襖(たいこばりふすま)は、太鼓張りで作られた框(かまち)も引き手もつけていない襖のことです。太鼓張りとは建具において、力骨の両面に板や紙を張って内部を中空にしているもののことを意味しています。襖を省略して太鼓張りと呼ばれることもあり、茶室によく利用されます。太鼓張り襖を茶室に利用する利点はいくつかあります。まず、縁をつけないことにより、部屋が広く感じるというメリットがあります。加えて、縁がなく白一色であるので夜咄(よばなし)の茶事などの際には、灯火を映すことで茶席を明るくするのに役立ちます。

他にも、襖の中が空洞になっているという特徴を持っているので、襖を閉めて水屋にいても席中の音が聴こえることも利点といえます。ただ、さまざまなメリットがある一方で、縁がないので襖の開け閉めが難しいというデメリットも存在します。

また、障子を太鼓張りにすると間に空気の層ができるので、ある程度の断熱効果を望めます。しかし、このケースでは室内が薄暗くなってしまうことがあるので注意が必要です。薄暗くなることを嫌って、半透明の紙を貼ることでわざと組子が助けて見えるようにする透かし張り太鼓が利用されることもあります。