上屋(うわや)とは、工事中の建物を保護するために一時的にかける仮設屋根のことです。素屋根(すやね)とも呼ばれています。建築中・改修中・解体中で屋根がない建物を雨や雪から守るためなので、工事が完了すれば取り壊されます。上屋工事は、建物の周囲に足場を設置して行うため、古くから高所作業を専門とするとび職が担ってきました。上屋の内部にも作業がしやすいように足場をかけます。

住宅の増改築工事で上屋をかけることはほとんどありません。多くは躯体工事中の鉄筋コンクリートの養生や、屋根修復中の文化財の保護です。国宝や重要文化財に指定された寺社仏閣の修復工事には、金属製の足場ではなく、竹や丸太で伝統的な「素屋根足場」をかける工法が取り入れられることもあります。城の再建工事にかける上屋は大規模なものです。城の周囲を構台という基礎で囲み、クレーンで鉄骨を組み上げて、城を丸ごと覆うような巨大な上屋をかけます。

そのほかにも上屋には複数の意味があります。基礎より上の部分を上屋と呼び、建物の基礎以外の部分を解体することを、上屋解体と言います。また、イベント会場やスポーツ施設、荷さばき場などに設置する雨よけ・日よけ用の屋根を上屋テントと呼びます。壁はなく側面が開放されており、鉄骨の骨組みと屋根シートだけで造るシンプルな構造です。サイズや用途によっては建築確認申請が必要になります。