竿縁天井(さおぶちてんじょう)とは、和室の天井仕上げの一つです。竿縁と呼ばれる細長い部材を、1〜1.5尺(約300〜450mm)間隔で平行に渡し、その上に直交する向きで天井板を並べます。竿縁が天井板を支える構造で、一般的な和室の天井として広く用いられている工法です。無垢材の天井板を使う場合は、反りを防ぐために端を薄く削って重ね合わせていく「羽重ね張り」をし、「稲子」という部材をあてて連結します。そのため「イナゴ天井」とも呼ばれています。

竿縁は1寸角(約30mm角)程度で、スギなどの柾目材を使うのが一般的ですが、茶室では竹や皮付きの小丸太といった装飾的な木材も使われます。また竿縁を2本ずつ並べて入れる「吹き寄せ竿縁天井」と呼ばれる仕上げも見られます。天井板は無垢材または化粧合板で、1~1.5尺程度の幅です。スギ、ヒノキ、ヒバなどの柾目、杢目どちらも用いられます。天井板は、部屋へ入った時に羽重ね部分の木端が見えないよう、入り口側から張り始めるのが良いとされています。
竿縁は、和室の長手方向に入れる、縁側に対して直角に入れるといった基本的な決まりがありますが、もっとも大切なのは、床の間に対して直角に入れないことです。竿縁が床の間に向かうのは「床刺し」と言われており、必ず避けなければなりません。