剛性(ごうせい)とは、建築物や構造部材に曲げやねじりの力が加わるときに、変形のしにくさを示す度合いを示す言葉です。変形が少ないと剛性が高く、大きいと剛性が低いと言われます。

物体に力を加えたときに変形をする範囲を「剛性」と言い、元に戻らない状態のことを「塑性」と言います。剛性は変形量(mm)に対する加わる力(単位はN)で表され、単位はN/㎜で表わされます。
変形量と力は比例関係にあることは物理学者のロバートフックにより発見されました。剛性には引張力や圧縮力と変形量に対する「軸剛性」、部材の途中の横方向から力と曲げ変形量に対する「曲げ剛性」、部材のある面を境とした逆方向にずれを生じる力(せん断力)と変形量に対する「せん断剛性」があります。

地震や台風等の力に対して剛性が高い方が変形しにくい建物ということになります。同じような言葉に「ヤング係数」がありますが、これは材料に対する固さを示すものとなり、単位は応力度に対するひずみの割合を示す(N/m㎡)となります。ただし、剛性が高ければ必ずしも強い建物というわけではありません。高層ビルの場合、剛性が高いほど上層部分の変形量が大きくなるため、各階の変形量を想定した柔構造で設計されることがあります。

また、弾性変形に対する抵抗度合いのことを意味しています。材料の性質をはじめ、部材断面の形状や、骨組みの構成方法により決められます。材質の面からみると、ヤング率や剛性率など弾性率の大きい材料を使用すれば、剛性は高くなります。一般的に、ヤング係数と断面2次モーメントを掛け合わせたEIで示されます。基本的には、金属や木材など、一定の厚みがある材料について使われる言葉で、シートや紙、フィルムなどの薄い材料では、腰や強さなどと言われることもあります。加えて、軸変形をはじめ、曲げ変形、せん断変形、ねじり変形などそれぞれに対して、軸剛性や曲げ剛性、せん断剛性、ねじり剛性が存在しています。

さらに、建築に関していえば、建物が持っている剛性の上下方向へのばらつきを評価する目的で、剛性率という指標が用いられています。指標に必要となる各階の剛性については、階高を地震荷重時の層間変形量で割った層間変形角の逆数で示されます。階層ごとに剛性にばらつきがあるケースでは、地震荷重を受けた時にその階に変形が集中してしまい破壊に至ってしまう危険性があります。

その他、強度の高い材料は、剛性も高いと思われがちです。しかし、実際は強度と剛性に相関関係はないので注意が必要です。例えば、糸の強度と剛性に相関はありません。