擁壁とは地盤や土壌に高低差を設ける際に、横圧および水圧に耐え斜面の崩壊を防ぐために構築される壁状の構造物のことを言います。

重力式擁壁、片持ち梁式擁壁などさまざまな種類の擁壁が存在する。大別して現場打ち擁壁とプレキャスト式擁壁の2種類に分類できる。

現場打ち擁壁はさまざまな現場条件に柔軟に対応できる一方、高い施工能力が要求され、工事費も高額になる傾向がある。自社施工などで工事費が抑えられるのであれば、材料費はコンクリート代や鉄筋代の他、雑費程度で済むこともある。

プレキャスト式擁壁は部材を工場で生産し現場に持ち込み組み立てることをいう。その性質上、現場での融通が利かずに取り合いが悪くなる可能性もある。施工自体、簡易であり工事費は安価である。材料費はプレキャスト式擁壁の方が高額となる。コンクリートの搬入の手間が無くなり、型枠工事や養生も不要となるため現場打ち擁壁よりも比較的短い工期での施工が可能である。

それぞれに一長一短がある。一概にどちらが優れているとは言い難い。上記の特徴を踏まえて予算や工期、現場条件などをもとに、工法を選定すべきである。

どちらの工法で施工する場合でも、擁壁内側の地下水排水機構については忘れないようにする必要がある。

擁壁