予防保全とは、計画的に点検・診断・修繕を行うことで建物を維持すること。軽微な損傷が生じている段階で実施することも予防保全である。建物の定期点検も予防保全の1つといえる。予防保全の逆は事後保全である。事後保全は、故障や不具合が生じた場合にその都度修繕を行うこと。従来の事後保全から予防保全へと移行している。

予防保全を行うことで、建物の突然の破壊を防ぐことができたり、巨額な費用がかかることが抑えられたりする。そのため、建物の長寿命化も実現が可能とされる上、事後保全に比べて建物のLCC(ライフサイクルコスト)を低減できるといわれている。LCCとは、建物の設計から建築、さらに解体までの一連の役割を終えるまでに要する費用。

またマンションなどでは、あわせて長期修繕計画を行うことが求められる。長期修繕計画は、住民が住みやすい住環境を提供するよう定期的に大規模な修繕を実施することである。

ただし建物や施設の予防保全を行うためには、管理者が損傷・劣化状態を把握していることが重要である。さらに、いつ・どの段階で・どのような工事を行えば良いかを理解している必要がある。

しかし、すべての建物に対して予防保全が有効とはいえない。まれに発生することはあるが被害の度合いが小さいものに関しては、事後保全が有効といえる。この場合、コストを抑えられるといったメリットがある。