親綱とは、作業員が身に着けている命綱を接続するためのロープやワイヤーのことです。垂直または水平に張った親綱に自分の命綱を掛け、高所作業中の墜落に備えます。垂直親綱は昇降移動するときに設置するもので、親綱グリップに命綱を接続します。グリップは上方向にはスムーズにスライドしますが、下方向にはブレーキがかかり、落下を防ぐ構造です。降りるときはグリップをつかみ、ブレーキを開放しながらスライドさせます。

水平親綱は、鉄骨や屋根などの構造物に親綱支柱を立て、水平に張ります。支柱のスパンは10m以下とし、1スパンにつき使用は1人です。同時に2人以上が接続しないよう注意します。親綱は支柱のリングを通すだけでは動いてしまうため、必ずフックで接続します。また緊張器を取り付け、たわまないように張ることが大切です。緊張器は万が一落下したときに親綱を保持する役目も担っています。単管用親綱クランプを足場に設置すれば、足場のパイプ間にも親綱を張ることができます。

親綱に接続する命綱は、墜落制止用器具(旧名称は安全帯)と呼ばれています。法改正により2022年1月より旧規格の安全帯(腰ベルト型やハーネス型)は不可となりました。6.75mを超える高所は、肩、腰、ももをベルトで支持するフルハーネス型の墜落制止用器具を着用することが義務付けられています。