落とし掛けは、床の間の垂れ壁(小壁)に取りつける横木の一種です。下端を納めるために用いられます。正面部分の垂れ壁に用いられ、内法長押よりも上位にあります。長押や鴨居よりも上の位置に取りつけられるのが一般的です。近年は、突板張り集成材が多く使われています。樹種は「桐」、「杉」、「黒檀」、「紫檀」、「桧」、「松」などが一般的です。樹種に関しては、床柱あるいは床框などとのバランスを考慮して選びます。軽量であることを理由に、桐などの木材が選ばれることが多い傾向にあります。

また、さまざまな材料が用いられるのも特徴のひとつです。数寄屋造りのような格式や決まり事にとらわれない雰囲気の床の間においては、「杉磨き丸太」、「皮付きの小丸太」、「竹」、「栗」などが用いられています。和室に軽妙な感覚を持たせる場合は、見付けを極力薄くした刀刃(八掛け)を用いることもあります。すっきりとした形に仕上げることも可能です。「刀掛け仕上げ」と呼ばれる方法があり、仕上げとして茶室に用いられ軽快な仕上がりになります。

その他名前の由来として、もともとの落とし掛けは竹やりでいつでも取り外せるようになっていて、いざという時にはその竹やりで応戦できるようにしていたという説があります。