拝むとは、本来は直立すべき構造物が、地盤沈下などなんらかの理由によって傾いていることをいいます。人が上体を傾けて拝んでいる姿勢から連想される言葉です。

名詞の「拝み」とは、破風板や垂木の接合部分のことです。斜めの部材を「人」という字に見えるように接合することを「拝みにする」といいます。左右に傾斜している2つの部材が頂点で接合している様子を、人が合掌して拝んでいるように見立てたことが由来です。主に屋根の木工事や板金工事で使われている言葉です。破風板は外からよく見えるため、「拝みが悪い」と建物の出来が台無しになるともいわれており、鬼瓦の荷重や木材の収縮を考慮して施工する必要があります。

道路の水はけをよくするために山なりの勾配をつけていることを「拝み勾配」といいます。直線道路の場合、道路の中央を高くし、両端に向けて1.5~2%の勾配をつけるのが一般的です。鉄道も、トンネルの中央部を高くして自然排水ができる拝み勾配の構造をとっています。一方、道路のカーブ部分は内側に向けて勾配をつける「片勾配」、海底トンネルなど入り口の方が高くなる場合は「落込勾配」です。また、電線の接続工事でも、両手を合わせるように突き合わせて接続することを「拝み接続」や「拝み配線」と呼びます。