建築業界で使われている「LCC」とは、「ライフサイクルコスト」を略したものである。もともとの「ライフサイクル」の意味は、生物の誕生から成長、衰退までの周期のこと。建築物を生物に例えた時の言葉が「LCC」(ライフサイクルコスト)である。
建築物にも、生物のような周期があるといえる。具体的には、建築の企画・立案から、設計・施工を経て、運営・維持管理から解体までが1つの周期となる。その間に掛かる全ての費用が建築物のLCCである。
建築物のLCCを構成するものは、建設費や修繕費、解体処分費だけに限られない。運営管理費や水道光熱費、固定資産税や保険料などを含む一般管理費もLCCを構成する。消耗品代や警備費用なども、建築物のLCCに含まれる。
建築物のLCCがかさむのは、まず建築物そのものや設備の自然風化・経年劣化などによる、修繕費が挙げられる。また、建築工事費用や材料費の増減、燃料価格の変動などもその一因となる。税法の改正や資産価値の変化なども原因となる。
LCCの計画や管理を行うことをLCM(ライフサイクルマネジメント)という。具体的には、光熱費の削減や、耐久性の長い建築資材を使用することなどがLCMとなる。修繕や清掃が容易な仕様にすることも、LCMとして有効である。