入母屋造りとは建物の屋根の上部が切妻造り、下部が寄棟造りになっている形状のもの。入母屋造りの屋根のことを入母屋屋根とも呼ぶ。日本の木造建築においてもっとも格式が高い屋根の形状といわれており、デザイン性に富んでいる。古くから城・寺院・神社などで用いられている。兵庫県の姫路城・京都府の清水寺・奈良県の春日大社南門などは入母屋造りの有名な建築物である。また、現在の家屋においても見られる構造形式だが、西洋建築では用いられることはない。

入母屋屋根の施工では反り・むくりなどの高度な建築技術が求められるが、現在は熟練の職人が不足していることから希少価値が高いといわれている。

入母屋造りのデメリットは「耐震性が低い」「雨漏りしやすい」「動物がすみつく」などがあげられる。部屋の構造上、他の屋根と比較すると重くなってしまう。そのため、大きな地震が発生した場合に建物が屋根全体を支えきれずに崩れてしまう可能性がある。また、切妻と寄棟の間に空間ができやすいことで雨水が侵入しやすく、雨漏りが発生しやすい。さらに、小さな空間にネズミがすみついてしまうこともある。

入母屋造りのメリットは「通気性・断熱性が高い」「外観が美しい」などがあげられる。入母屋屋根は高低差があるため、風が吹くと屋根全体に空気が循環するようになっている。また、屋根の形状と日本瓦の使用によって、建物の外観をより美しく見せている。