インバート(invert)とは、「逆にする」「転回させる」などの意味。建設用語としては、アーチ状のものをひっくり返したような形状のものをインバートと呼んでいる。トンネル工事においては、トンネルの底部にアーチをひっくり返した形のコンクリートを設置して上部のアーチと結合させるが、この底部に設けたコンクリートをインバートという。
下水道においては、汚水桝の底部に設けた溝をインバートと呼ぶ。また、インバートを設置した汚水桝には、「インバート枡」か単に「インバート」という呼び名がある。溝を掘る工程を「インバートを切る」ということもある。
汚水桝にインバートを設ける目的は、配管の詰まりを防止するため。通常の枡の形状では汚物が滞留して流れないおそれがあるため、インバートを設けてスムーズに流れるようにする。汚水桝の点検や清掃が容易になるメリットもある。
インバートを設置する工程は、まず漏水しないように汚水桝の管口を広げる。ひび割れなどしないように、モルタルなどで半円状の溝を成形する。プラスチック製の管を使うこともある。
近年では、軽量で扱いやすい塩ビ枡が普及するようになった。そのため、コンクリートの汚水桝にモルタルなどでインバートを切ることは減少傾向にある。