寄棟(よせむね)とは、屋根の形式の一つで、4方に流れる勾配を持つ屋根のうち、2方の勾配の頂部に棟を持つ屋根を言います。「四つ屋根」とも言われます。4方の勾配の頂部が1点に集中する屋根は方形(ほうぎょう)と言います。「寄棟」と「方形」をまとめて「寄棟」と言うこともあります。

2方に流れる屋根を持つものを「切妻(きりづま)」、1方のみに流れる屋根を持つものを「片流れ(かたながれ)」と言います。「寄棟」の屋根は正面から台形、側面から三角形、上部からは四角形に見えます。「寄棟」は「切妻」や「片流れ」よりも雨仕舞がよく、日本では古来、宮殿や神社、仏閣などの格式の高い建物に用いられてきました。

奈良の唐招提寺、東大寺の大仏殿、正倉院などにも用いられた工法となります。「寄棟」は、4方向に軒があるために、外壁に日射や雨を直接受けにくくして保護をします。降った雨や雪は分散して、屋根への負荷を低減して壊れにくくします。4方向に勾配をもつことから、あらゆる方角からの強風に対しても、風力を受け流すことが出来ます。「切妻」に比べ、小屋裏の換気口を設けることが難しく、最近では太陽光パネルを設置する場合、設置面積が小さいなどのデメリットもあります。