擁壁とは、山間部や丘陵地の裾野を切り崩して平地部分を造成する際、切り崩した部分の崩落を防止するために、土圧や摩擦力を利用して鉄筋コンクリート製の壁で受け止めようとするものです。
擁壁高さによって、小型重力式擁壁と重力式擁壁に分けられています。小型重力式では0.5〜2.0m、重力式では1.0〜5.0mです。天端幅は小型重力式で0.15〜0.3m、重力式では0.4mとなります。
擁壁の種類は、壁の高さや地盤の状況、土圧によって選定され、概ね切り崩した断面の高低差が5m以下では、断面が下部が上部より大きい台形型コンクリート造の自重で地盤を擁える重力式擁壁、5m以上ではL字型擁壁、逆T字型擁壁などがあります。さらに高低差のある場所では、補強材で地盤を挟み込んだ補強土を用いることもあります。
参考までに、土留めは仮設の工法として、また規模が小さい擁壁部として用いられています。
重力式擁壁は、最も基本的な構造物です。土圧によって横方向にずれようとする力に、擁壁の自重によって抵抗しようとするものです。施工時には、地山に浸透などして流れる雨水について、擁壁部に排水構造を備える必要があります。具体的には擁壁の背面土の透水性が良い場合は、Φ100mmの水抜き管に10%の勾配を持たせて敷設します。