釉薬は「うわぐすり」または「ゆうやく」と読む。陶磁器などの表面を覆うための薬品、または表面にできたガラス質の部分をいう。
釉薬にはいろいろな種類がある。草木の灰と土石類を水で溶いた灰釉(はいゆう・かいゆう)が代表的なもので、特に藁(わら)の灰を用いたものは藁灰釉と呼ぶ。

その他にも、銅化合物を使う「銅釉」や、鉄化合物を使う「鉄釉」などがある。液体の湿式と、粉状の乾式に分けられる。反応する熱の温度により、高火度釉・中火度釉・低火度釉という区分もある。
釉薬を使用することにより、ガラスでコーティングされて強度が増す。また、水漏れや汚れを防げる。光沢が出て発色が良くなるので、装飾としての役割もある。

建築では、タイルなどに釉薬が用いられる。真珠のような色彩や光沢が出るラスター釉、焼成中の火炎の温度などにより色彩の変化を起こしやすい窯変釉、つや消し効果もあるマット釉などがある。
粘土で成型して乾燥させた瓦に、釉薬を塗布して焼成したものが「釉薬瓦」(ゆうやくがわら)である。瓦の全出荷量の約8割を釉薬瓦が占める。釉薬を使用しないものは「無釉薬瓦」または「素焼瓦」。
釉薬瓦は多様に発色できるのが魅力の1つである。コーティングにより水が浸透しにくいので、塗装によるメンテナンスは必要ない。