一般的なゲイン(gain)の意味は利益や収益。建築の分野ではさまざまな使われ方をする。
例えば、不動産などの資産価値が購入価格よりも売却価格の方が上回った場合、得ることができる純利益を「キャピタルゲイン」と呼ぶ。また、「ヒートゲイン」とは、冷房中の屋内に壁や窓から外部の熱が伝わってくることをいう。「ゲイン塔」とは、電波塔の頭頂部に設置される、放送用アンテナ設備を取り付けるための柱のこと。

建築では「ダイレクトゲイン」をいうことが多い。ダイレクトゲインとは、太陽光を蓄熱して暖房に活用する方式のこと。動力を極力使わないパッシブソーラーシステムの1つである。
原理としては、昼間に日射熱をガラスなどを通じて熱容量の大きな床や壁などの蓄熱体に蓄え、夜間や曇天時に放熱させて暖房効果を得るものである。仕上げの状態や容量を変えることにより、蓄熱量を変えられる。

ダイレクトゲインに有効な床材や壁材は、コンクリート・タイル材・レンガなど、蓄熱しやすい素材が良い。また、開口部から熱が逃げる可能性もあるので、断熱効果の高いサッシが必要となる。
ただし、夏場は熱量を過分に蓄積するおそれが生じる。軒や庇などで適度に日光を遮断する必要がある。