上げ裏とは、下から見上げるたときに目に入る軒・庇(ひさし)・ベランダ・階段などの裏側。軒の裏を軒裏、階段の裏を段裏という。

上げ裏は外部から見えにくい目立たない部分であるため、建物の劣化に気づきにくいといった難点があげられる。上げ裏には雨が当たることはないが、湿気が多くなり水がたまってしまい、さびや腐食の原因になる。また紫外線による経年劣化も懸念される。湿気により塗装が剥がれることもあるため、定期的に塗装を行うなどメンテナンスが必要である。

湿気による劣化を防ぐため、上げ裏には塗装を施す。木造建築には防腐塗料を塗り、鉄筋コンクリート造の建物には吹き付け塗装を行う。劣化が進んでいると張り替えが必要な場合もある。

塗装を行う際、まず腐食箇所の塗装を剥がしたり汚れを取り除いたりする。その後、上げ裏に付属されている金属製品が錆びないように錆び止め材を塗る。さらに、下塗りを実施し腐食の度合いによって何度か行う。最後に、上塗り塗料を塗り完了となる。

上げ裏に使用されるのは、ケイ酸カルシウムと補強繊維が主原料となっているケイカル板が材質の一つである。ケイカル板はアスベストを含んでいない。防湿性のほか耐火性に優れている。従来はベニヤ板・合板が用いられていたが、防湿性・耐火性に劣る点からケイカル板が主流となっている。