アリ溝は、アリのホゾを受ける溝のことです。断面が昆虫のアリの頭部を模した逆ハの字状になった状態をアリと呼びます。別の物をつなぐという意味もあります。つなぐ際に受け手となる部分のこともアリ溝と呼びます。逆三角形であるのが特徴で、まっすぐ入れることはできません。そのため、横から滑らせて差し込みます。結果、継ぎ手として強度を高められます。繊維に直角に溝を切ってつくるのが基本です。精度が強度に大きく影響を与えるため、注意が必要です。
また、幅広板を固定する手がかりにしたり、反り止めとして用いられます。実際、鉛直に溝を刻まず、いくらか先窄まりの溝としてホゾを3分の2くらい差し込んでから効くように作ります。作業性が良くなり、強い力で押し込めるようになるため、反発により摩擦係数を高められ、結果強度を高めることにつながります。
その他、逆ハの字状のホゾは「蟻ホゾ」で、柱や束などの端部に凸型に小さく突出させた直方体の細工のことです。さらに、蟻をつかった仕口を「蟻継ぎ」といいます。仕口は、木材の加工において2つの材料が取り合うとき、直角につなぐ加工方法の総称です。継ぎ手の中でも蟻継ぎは単純な構造を取っていますが、逆ハの字にすることによって引き抜きにも強い継ぎ手にできます。