ニコイチ住宅とは、漢字で「二戸一」と書くことから分かるとおり、2戸の住宅がつながっていて外観上1戸のように見える形態を指します。各戸は独立しており、中でつながっているわけではありません。また、共用廊下や共用階段がなく、直接各戸に入る形態のため、建築基準法上の「共同住宅」にはあたりません。一般的に、複数戸が界壁を共有してつながっている住宅は「長屋」と呼び、建築確認申請は1回です。

近年では、団地などの共同住宅において2戸を1戸にまとめるリノベーションが盛んに行われており、これをニコイチ住宅と呼ぶようになりました。老朽化や過疎化が深刻となっている団地の再生プロジェクトとして、ニコイチ住宅は画期的です。グッドデザイン賞を受賞するなど、少子高齢化や空き家問題を解決する新たな取り組みとして注目されています。

団地をリノベーションするニコイチ住宅は、階段を挟んで向かい合う部屋を1つにまとめる方法が一般的です。50㎡の部屋が100㎡となり、広々とした居住空間が実現します。キッチンと浴室は1つでいいがトイレは2つとも残す、玄関を2つ残して、リモートワーク用の仕事場と自宅を分けるなど、バリエーション豊富な間取りが可能です。