重心とは物体の重さが作用する点であり、物体の重さを1点で支えた時に釣り合う点といえる。
建築構造においては、重心と剛心が重要となる。簡単に説明すると、重心とは建物の重さの中心、剛心とは建物の強さの中心である。さらに剛心は、建物の変形に対する抵抗の中心点であり、たとえば地震の場合はその地震に建物が耐えようとする強さのこと。

重心と剛心との距離が近いほど、構造的にバランスの良い建物となる。逆に重心と剛心の距離が離れていると、ねじれが生じて建物が損傷するおそれも。地震などで生じる、重心と剛心とのずれを偏心という。重心と剛心のずれの度合いを表す指標として、重心と剛心の離れ具合を示した割合である偏心率が使われる。

2000年の建築基準法改正により、木造住宅は偏心率が0.3以下になるよう定められた。また、高さ13mを超える鉄筋構造の建築物や高さ9mを超える木造建築物をはじめとした特定建築物は、偏心率が0.15を上回らないよう義務づけられている。
偏心率を下げるためには、耐力壁をバランスよく配置するなどの計算が必要。一般的には、面積や階数の大きい建物ほど多くの耐力壁が必要になり、より太い柱と太い梁を用いることで必要な耐力壁を減らせる。