生コンクリート(以下、生コン)をコンクリートの製造工場から必要な工事現場へと輸送する特種用途自動車のことをミキサー車といいます。
ミキサー車は車両の荷台部分に、回転式の大きなドラム(ミキシングドラム)を積載しています。
この輸送する生コンとは、工場などで製造される凝固前のコンクリートのことで、セメント、砂や砂利などの骨材、水を混ぜ合わせることによって作られます。
これらの材料はそれぞれ比重が異なり、時間の経過、また車の振動で分離してしまいます。そのため一般的なトラックでの運送が非常に困難となり、常時攪拌(かくはん)可能なミキサー車が開発されました。また、生コンに使用されるセメントは水と混ぜ合わせた数分後には硬化が始まるため、工場で材料を混ぜ合わせてから90分以内には現場に輸送しなくてはなりません。

ミキシングドラムの内部には、ミキシングフレーム(またはミキシングブレード)と呼ばれる螺旋(らせん)状の銅板がついています。ドラムの回転と同時に、このミキシングフレームをつたって生コンが上下に移動し、攪拌の動きを作り出しています。走行中や荷卸し前は車両後方からみて反時計回りに、荷卸し時には時計回りへと逆転し、生コンを排出させます。

ミキサー車のことを「アジテータ車」と呼ぶこともあります。正式には、生コンの材料を直接ドラム内に入れかき混ぜながら走る車のことをミキサー車といい、それに対して工場であらかじめ製造された生コンをドラムに入れ、攪拌させながら走る車を「アジテータ車」と呼んでいました。現在では生コンの品質管理基準および規格値が厳密になったため、走行しながら材料を混ぜるといった手法は減り、主流となった「アジテータ車」のことを指してミキサー車と呼ぶ機会が多くなっています。