カチオン電着塗装は、電極を用いた塗装方法のひとつです。被塗装物を浸漬させて陰極にし、直流電流をかけます。電極付近は塗料が化学反応を起こして不溶性の樹脂となり、細かな隙間までピンホールなく均一で密着性の良い厚い塗膜が形成されます。複雑な形状のものも例外ではありません。
また、非常に高い耐食性を持っているのが特徴です。たとえば、通常の亜鉛メッキと3価クロメートだと耐食性が不十分なことがあります。そのような場合に、補強としてカチオン電着塗装を実施します。さらに、費用が安いことや下地に適していることも魅力です。
一方で、デメリットも存在します。塗装色の変更が難しいことはデメリットのひとつです。加えて、2度塗りもできません。塗料槽や純粋槽などの液管理が必要であることも、手間がかかるという点でデメリットとして挙げられます。
その他、カチオン電着塗装の不良はいくつかあります。「ハジキ」、「ブツ」、「膨れ」、「ムラ」、「タレ」、「ウォータースポット」、「エアーポケット」、「密着不良」などです。例えば、ハジキは電着塗面上にクレーター状の凹みが発生するものです。脱脂や水洗い強化で油分をしっかりと脱脂すると解決できます。