後背湿地とは、自然堤防などの背後に形成される、標高数mの湿地である。バックマーシュともいう。
洪水が起きると、河川からあふれた水が自然堤防を越えることがある。河川の水が低地に向かって流れると、粒子の細かい粘土などが堆積する。堆積した場所に形成されるのが後背湿地である。
後背湿地は軟弱地盤で水はけが悪い。また、地理的な要因で再度の浸水被害を受ける可能性が高い。そのため、かつては水田として後背湿地を利用するケースが多かった。
以上のことから、後背湿地は住宅の建築には向かないとされる。そのため、国土地理院が発行する土地条件図などで事前に調査する事例が見られる。しかし、後背湿地を埋め立てて、その上に住宅や事業所、工場などが建つことが無くはない。
後背湿地での建築は、地盤沈下を起こしやすく、地震の際には大きな揺れとなる。さらに、建築物の重みで地盤や建築物が沈む不同沈下の原因となる。ドアの開け閉めの不具合や雨漏りだけでなく、建築物が倒壊するおそれもある。
後背湿地で不同沈下を起こさないようにするには、地盤の補強工事や改良工事が必要となる。固い地盤まで基礎を下げるか、杭を打つなどで対策する。建築物の軽量化や地盤に掛かる荷重の均等化なども有効。