アールヌーボーは、19世紀末頃から20世紀初めにかけて、フランスなどのヨーロッパ諸国の建築や工芸、絵画などの諸芸術に流行した様式のことを指します。植物などを模した曲線的な装飾が特徴で、フランス語では新しい芸術を意味しています。産業革命以降に粗悪になってしまった実用品などに再び芸術性を取り戻すというコンセプトをもち、波及したと言われています。例えば、「サグラダ・ファミリア」や「タッセル邸」、「パリの地下鉄の出入り口」が該当します。アールヌーボー様式を生んだヨーロッパの芸術家は、日本の浮世絵から多大な影響を受けたとされており、日本にもゆかりのある様式です。
また、曲線的な装飾が特徴であることに加えて、有機物をモチーフにすることが多い傾向にあるのも特徴です。具体的には、花や草、昆虫などを手すりや壁に描いたりします。さらに、鉄を線材として使用しているのも特徴のひとつです。これにより、軽やかで繊細なデザインが実現できたといわれています。
その他、似たような言葉に「アールデコ」があります。芸術性を求めたアールヌーボーに対して、シンプルかつ合理性を目指すデザインです。直線的なデザインが特徴で、1910年から1940年にかけて、ニューヨークやヨーロッパで流行しました。ニューヨークのマンハッタンにある建築群は、代表的な建物とされています。