アルカリ骨材反応とは、1980年代頃から問題となった、コンクリートが劣化する現象の1つである。アルファベット3文字でASRと呼ばれる。アル骨と略すことも。
セメントには石灰石や骨材に含まれる鉱物などにより、アルカリ性の物質が多くなる場合がある。特に火山岩を使用するとアルカリ骨材反応が発生しやすい。それらが水に溶け込み、アルカリ性の水溶液が発生する。
アルカリ性水溶液が骨材の一部の成分と反応することで、コンクリートの膨張やひび割れなどを起こすのがアルカリ骨材反応である。コンクリート内部の湿度が80%を超えると、アルカリ骨材反応を起こしやすくなる。
アルカリ骨材反応を抑制する対策として、コンクリートの表面塗装や無害骨材の使用などがある。ASR抑制剤を注入する工法も存在する。水の侵入がアルカリ骨材反応の原因にもなるため、ひび割れや剥がれを補修することでも効果が出る。
アルカリ骨材反応によりコンクリートが膨張した場合は、コンクリートの外部をプレストレスト・コンクリートや鋼板などで覆って膨張を止める方法がある。劣化が激しい場合は、FRPや鋼板などで補強するか、新しいコンクリートに打ち替えることが必要となる。
コンクリートの一部を採取してアルカリ骨材反応の進行を予測できる。電子顕微鏡で観察したり、採取したものを養生して促進膨張させるなどの方法がある。