オイルダンパーとは、オイルを充填したシリンダーとピストンで構成された筒状の制振装置です。振動によって力が加わるとピストンが動き、シリンダー内に満たされたオイルを押して衝撃を吸収する仕組みです。油圧ダンパー、ショックアブソーバとも呼ばれており、自動車や新幹線などの振動を軽減するために搭載されています。そのほか、トレーニングマシンや介護予防訓練機器の負荷をかける部分にも利用されています。

建築の分野でもオイルダンパーは活用されています。自然災害が多い日本では、地震や台風の揺れを吸収する制振装置であるオイルダンパーが注目されており、高層ビルから木造住宅まで、あらゆる建物に対応したオイルダンパーが製造されています。
建物用の制振ダンパーには、ほかに鋼材やゴム製のダンパーがありますが、木造住宅にはオイルダンパーが適しています。もっとも基本的なのは、柱と梁にかけてななめに固定するタイプです。そのほか、台形の合板とオイルダンパーを繋ぎ合わせたHiダイナミック制震工法と呼ばれるタイプ、スチールフレームとオイルダンパーを組み合わせたタイプなどがあります。

なお、「制振」は、地震だけでなく風や振動による揺れも含まれていることに対し、同じ読み方の「制震」が意味するのは、地震の揺れだけです。また「耐震」は、建物の構造を強くして地震の揺れに備える方法、「免震」は、建物と地面を切り離し、揺れを伝えない方法です。