デシカントとは乾燥剤・除湿剤のこと。建築でデシカントといえば、デシカントを使用するデシカント空調(除湿機)を指すことがほとんどである。

一般的な空調は冷媒を利用して空気を冷却してから除湿するが、デシカント空調の場合、湿気を含む空気を乾燥剤の利用で除湿する。温度と湿度を別々に制御でき、排熱利用による省エネルギー効果なども期待できる。

空気流路を入れ替えて除湿と再生を行うバッチ方式と、乾燥剤を吸着させたロータを回転させながらロータに空気を流入させて除湿するハニカムロータ方式がある。

大量の外気を取り入れる場合や除湿が求められる場合は、デシカント空調が適するとされる。よって、温湿度条件の厳しい工場やクリーンルーム、冷凍ショーケースを多く採用しているスーパーマーケットなどでの設置が多い。

冷媒を使用しないノンフロンであるため、地球温暖化の防止に役立ち、環境にやさしいシステムであるといえる。また、温水やヒートポンプの排熱などを利用するため、CO2の排出抑制などにもつながる。消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物である、ZEN(ゼロエネルギービル)を実現させる手段の1つとして、デシカントが注目されている。