建築用語のオーバーハングとは、2階以上ある建物の上階が下階よりも外側へせり出している設計デザインのことを言います。建物の庇・ベランダ・バルコニー部分や、マンションの外部の片側廊下などを指します。また、出っ張っている部分はキャンティ・キャンティレバーと呼んだり、その部分もオーバーハングと言うこともあります。日本語では片持ち・持ち出し・張り出しなどと呼びます。

オーバーハングを採用することで、上の部分はリビング・居住スペースやバルコニーとして、下の部分を駐車場や庭として利用できます。また、基礎工事を小規模にできるため、費用を抑えつつ建物を広くできるメリットもあります。都市部など広い土地が確保できない場所でもオーバーハングが効果的です。

ただし、一方を固定してもう片方を自由に使えるようにしている構造上、耐震性能の不安や経年劣化のおそれもあり、オーバーハングが脱落してしまう事例もあります。また、防水加工が十分でない場合は接合部への浸水によって腐食が生じることもあるので、設計・施工には慎重を要します。その他にも、建ぺい率と容積率に注意する・オーバーハングの幅を必要最小限にする・オーバーハングしている側は窓の設置を避けるなど、設計・施工時に配慮すべき点が多くあります。

横浜の元町や金沢の片町の商店街では、店舗の上層部分をオーバーハングさせて雨や日射を遮え切り、通行人や買い物客を迎え入れてくれる街並みを作っています。住宅建築ではオーバーハングを用いて、玄関先の庇や駐車場の屋根として用い、凹凸のある意匠と機能を兼ね備えたデザインとする事例も多くあります。ビルでもオーバーハングのものは多くあり、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズでは3棟のビルの上部に船の様な形状の構造物で繋ぎ、大きく張り出しプールや屋上庭園を配置しています。 既に解体されましたが、新生銀行旧本社ビル(旧長銀ビル)は建物を逆さまにした様な、大きな張り出しのあるビルでした。オーバーハングの建物にはキャンチレバーと言う片持ち梁が必要となり、強靭な構造が必要となります。主に鉄骨造が用いられますが、最近では木造でもCLTを用いた大きなオーバーハングのある建物も建てられる様になりました。