基礎工事などの地盤を掘り進めていく工程で、周囲の土砂が崩壊しないよう、あらかじめ打ち込む板状の杭のことを矢板といいます。矢板には、木製、鋼製、鉄筋コンクリート製などがあり、このうち鋼製のものが鋼矢板です。
基本的には仮設材として使用し、工事終了後に引き抜いて再利用します。ただし、護岸工事などの土木工事においては、本設構造物として設置することがあります。

鋼矢板は、1枚の幅が400〜900mmの鋼板を繋ぎ合わせることで効果を発揮します。断面の形は、U形、ハット形、直線形の3種類です。
U形は、断面が左右対称形で比較的取り扱いやすい矢板です。アーム部分がなく、継手の形状が同じなため、繋ぎ合わせでは、交互に向きを変えて接続します。古くから利用されてきたU形は、現在も多くの工事現場で採用されています。
ハット形は、断面がつば付き帽子の形をしています。有効幅が900mmと大断面なので、使用枚数が削減できて経済的です。同じ向きで接続できるのでスムーズに施工できて、U形矢板よりも高い強度が確保できます。

直線形は、そのまま使用せず円筒状の柱として組み立て、その中に土砂や砕石、コンクリートなどを詰めたものを連続させて並べて使います。主に海底で使用して、海水の侵入を防ぎながら構築物を築造する工事で活用します。