歩み板とは、人が歩いて渡るために架ける板のことです。船と岸の間に渡す板や、歌舞伎舞台の花道といった意味があります。また、重機を輸送車の荷台に乗せるために渡す板も歩み板です。1本あたり200kgもあるような巨大な木材ですが、金属製のブリッジより滑らないため、多く使われています。
建築用語での歩み板とは、足場板のことを指します。とび職や大工などが高所で作業する際に足場に渡す床のことです。安全のために十分な強度が必要とされており、劣化したものはすみやかに処分します。
日本では古くから無垢の杉板が歩み板として使われていました。今でも高速道路や橋梁などの工事に使われています。歩きやすくて足触りも良く、今でも根強い人気がありますが、高価なうえに維持管理が難しいことがデメリットです。代わりに使われるようになったのは合板の歩み板です。木目を直交させて貼り合わせているため、無垢材に比べて狂いが少なく丈夫です。パイン材、カラマツ、ユーカリなどの種類がありますが、重いところが難点と言えるでしょう。
現在は金属製の足場板が一般的で、歩み板とは呼ばなくなりました。小さな穴が開いているフラットなタイプや金網状のもの、長さを調整できる伸縮型などがあります。スチール製(鋼製足場板)は強度が高く耐久性があるのが特徴です。アルミ製はスチール製より軽いため、高所へ設置するときの負担が軽減されるほか、輸送のコストカットにもなります。金属製の足場板は、現場では「アンチ」とも呼ばれており、幅400mmの通称「ヨンマル」が主流です。