隣地境界線(りんちきょうかいせん)とは、建築物の敷地と敷地との境界を示す線である。杭や境界標などで視認できることもあるが、ほとんどの場合で隣地境界線は明示されていないことが多く、図面などで見られるのみ。塀や垣根などで境目が仕切られていることもある。
民法で隣地境界線についての定義があり、建築物は隣地境界線から50センチメートル以上離して建てなければならないことになっている。したがって、建築物と建築物との間は1メートル以上の間隔が空くことになる。
ただし、民法にもある通り、慣習がある場合は間隔を空けなくても良い。防火地域または準防火地域内の建築物は、外壁が耐火構造であれば、外壁を隣地境界線に接して設置することができる。
隣地境界線を基準とした、さまざまな権利義務や制限が発生する。そのため、隣地境界線が自然災害や工事ミスなどで移動したり見失ったりすると、トラブルの原因となる。屋根や雨といなど、建物の一部が越境する事例が多い。
隣地境界線と間違えやすいものに筆界がある。隣地境界線は敷地の境目全般を指すのに対して、筆界は不動産登記で公示されているものに限られる。筆界が必ずしも所有権が及ぶ範囲とは一致しないため、土地家屋調査士に調査を依頼したり、筆界特定制度を利用したりなどで対応することが望ましい。