安全率は、各部材の基準とされている強度と許容応力の比率のことを意味しています。構造設計時に用いられる割合のひとつです。確定しているものの場合は、安全率は1で問題ありません。しかし、建築に使用される部材に関しては不確定な要素が多く、どんな問題が起きるか定かではないため、安全率を算出する必要が出てきます。できる限りの不確定要素を排除できれば、安全率は1に近づいていくことになります。ただし、実際は1にすることは難しいです。なぜなら、環境だけではなく部材の品質にもばらつきがあることや、予想外の使われ方をすることがあるからです。
また、建築に限定していえば安全率は、このくらいの安全は見込んでおこうというような経験則で決定されることも少なくありません。加えて、これまでの事故や経験的に作用した最大の荷重を参考に決定されることもあります。建築材料の安全率は、種類によってさまざまです。木の安全率はv=1.8で、水分を吸えば強度が落ちるなど安定していないといえるので、安全率は高めに見込んであります。鋼の安全率は、v=1.5です。コンクリートの安全率は、v=2.0です。その他、地震や台風などの災害時にも安全率を見込むのはコストがかかります。